- 株式譲渡にかかる税金(個人・法人)
- 事業譲渡にかかる税金(個人・法人)
- M&Aにおける節税(役員退職金スキーム)
- 赤字・債務超過会社の買収制限
- のれん・負ののれん 会計処理と税務処理
最終更新日:
事業譲渡にかかる税金は、売り手・買い手の立場や法人・個人の別、さらに譲渡する資産の内容によって変わります。
※本記事は、2026年7月時点の法令・制度を前提にしています。
監修者プロフィール
株式会社ストライクグループ コーポレートアドバイザリー部
コーポレートアドバイザリー部は、弁護士・司法書士・公認会計士・税理士など、法務・会計・税務の専門性を持つメンバーが在籍する専門部門です。累計3,700件超のM&A成約実績を持つストライクグループにおいて、アドバイザーと連携し、M&Aの手法提案、契約実務、企業価値評価、税務上の留意点などの観点から、案件支援およびコンサルティング品質の向上に関与しています。
<この記事の概要>
事業譲渡は税金の理解不足がそのまま手残りの差につながるため、事前の整理が不可欠です。課税は法人・個人の別だけでなく、資産ごとに異なるルールが適用されるため、譲渡価格ではなく譲渡益や資産内訳を基準に全体像を把握する必要があります。スキーム選定や価格配分、費用を含めて税額を試算し、専門家と連携しながら手残りベースで判断することが求められます。
事業譲渡にかかる税金とは?法人と個人の違い
事業譲渡では、譲渡する資産ごとに課税関係が異なり、法人か個人かによって税金の種類と計算方法が変わる点が特徴です。
ここでは、事業譲渡の基本的な仕組みと、どのような税金が発生するのかを解説します。
事業譲渡とは
事業譲渡とは、法人や個人事業主が営む事業の一部または全部を、資産や契約単位で第三者へ移転する手法です。
譲渡対象には、設備や在庫といった有形資産だけでなく、取引先との契約や営業権(のれん)なども含まれます。ただし、契約上の地位を移転するには、相手方の承諾が必要となる場合があります。
株式譲渡との違いは、譲渡対象と課税の考え方にあります。
事業譲渡は、必要な資産や契約のみを個別に選択して移転できる一方で、資産ごとに税務処理が発生します。
これに対し、株式譲渡は会社の株式を譲渡することで会社全体を移転する手法であり、基本的には株式譲渡益に対して課税されます。
つまり、事業譲渡は柔軟に対象を選べる反面、資産ごとに課税関係が分かれるため税務が複雑になりやすいという特徴があります。
より詳細なスキームについては、以下も参照してください。
事業譲渡には税金がかかる
事業譲渡では、譲渡する資産の内容や当事者の属性(法人・個人)によって複数の税金が発生します。
特に、消費税は課税資産を譲渡する場合に発生するため、資産内訳の整理が実務上の論点になります。
主な税金の種類は以下の通りです。
- 売り手(法人)の場合:法人税等、消費税
- 売り手(個人)の場合:所得税、住民税、消費税
- 買い手(法人・個人)の場合:消費税(課税資産がある場合)、不動産取得税(不動産を取得する場合)、登録免許税(登記が必要な場合)、印紙税(契約書の作成形態による)
※以下、特に断りのない限り、「法人税等」は法人税・地方法人税・法人事業税・法人住民税などの法人課税を指し、「消費税」には地方消費税を、「所得税」には復興特別所得税を含みます。
これらの税金は、すべてが必ず発生するわけではなく、譲渡資産の内容や譲渡損益の有無によって変わる点に注意が必要です。
そのため、事業譲渡を検討する際は、どの資産にどの税金がかかるのかを事前に整理し、全体像を把握しておくことが重要です。
【売り手・法人向け】事業譲渡でかかる税金と計算方法
法人が事業譲渡を行う場合、譲渡対象となる資産の内容や譲渡損益の有無によって課税関係が変わります。
特に、消費税と法人税等の両方が関係する点が特徴であり、資産ごとの整理が必要です。
まず、事業譲渡で発生し得る主な税金について、発生場面・概要・計算の考え方を整理します。
| 税金の種類 | 発生する主な場面 | 概要 | 計算の考え方(税率) |
|---|---|---|---|
| 消費税 | 課税資産(建物・設備・在庫・営業権など)を譲渡した場合 | 課税資産の譲渡を行った場合に発生する | 課税資産の税抜譲渡対価の額 × 原則10%(軽減税率対象資産は8%) |
| 法人税等 | 譲渡益が発生した場合 | 譲渡によって得た利益に対して課税される | (譲渡価額-簿価-譲渡費用)× 実効税率(約30%前後) |
| 消費税(価格設定上の論点) | 譲渡対価の設定時 | 課税資産部分の消費税相当額が譲渡価格に影響する | 課税資産部分に消費税を加味して価格設計 |
上記のとおり、すべての税金が必ず発生するわけではなく、課税資産の有無や譲渡損益の有無によって変わる点に注意が必要です。
そのため、事業譲渡では、対象資産の内訳と譲渡価格の構成を整理したうえで税額を試算することが求められます。
以下では、それぞれの税金について、どの場面で発生し、どのように計算されるのかを具体的に解説します。
消費税(課税資産が含まれる場合)
事業譲渡では、譲渡資産のうち課税資産に該当する部分について消費税が発生します。
消費税は、事業全体に対して一括で課税されるのではなく、資産ごとに課税・非課税が区分される仕組みです。
- 消費税の納付は、原則として売り手(課税事業者)が行う
- 契約上の譲渡対価の内訳(課税資産/非課税資産)によって税額が変わる
- 経理処理(税抜・税込)や契約書の記載方法によって実務対応が変わるため、事前整理が必要
課税資産・非課税資産の代表例は以下の通りです。
- 課税資産の例:建物、機械設備、備品、棚卸資産、営業権(のれん)
- 非課税資産の例:土地
このように、同じ事業譲渡でも資産の種類によって消費税の有無が変わるため、資産内訳の設計が税額に直結します。
法人税等(譲渡益が出た場合)
事業譲渡で譲渡益が発生した場合、法人税等の課税対象となるのは「譲渡益」部分です。
譲渡代金の総額ではなく、簿価や費用を差し引いた利益に対して課税されます。
計算の基本的な考え方は以下の通りです。
譲渡益 = 譲渡価額 - 譲渡資産の簿価 - 譲渡に要した費用
※負債もあわせて譲渡する場合
買い手が負債を引き受けることで、譲渡益が大きくなる場合があります。
ここでいう譲渡に要した費用には、仲介手数料や専門家報酬、登記関連費用などが含まれます。
法人税等の実効税率は、企業規模や所在地によって異なりますが、一般的には約30%前後が目安とされます。
なお、2026年4月1日以後に開始する事業年度から、各事業年度の所得に対する法人税を課される法人には、防衛特別法人税が適用されます。原則として、一定の税額控除を適用しないで計算した法人税額から年500万円を控除した金額に、4%の税率を乗じて計算します。
出典:国税庁「防衛特別法人税が創設されました」
したがって、譲渡価格だけでなく、簿価や費用を含めた譲渡益ベースで税額を試算する必要がある点が重要です。
売り手法人が見落としやすい税務上の注意点
事業譲渡では、資産の整理方法や契約設計によって税額の計算が大きく変わります。主な注意点は以下の通りです。
- 資産ごとの価額配分により、資産別の譲渡損益や消費税額が変動する
- 課税資産と非課税資産の配分次第で、税務上の説明が求められる
- 譲渡関連費用の整理不足は、譲渡益の計算誤差につながる
- 契約前に税額試算を行わないと、手残りの想定にズレが生じる
特に、資産内訳と価額配分は税額に直接影響する要素であり、契約書作成前に整理しておく必要があります。
実務上は、契約前の段階で税理士と連携し、譲渡価格ではなく「手残りベース」での試算を行うことで、想定との差異を抑えることができます。
【売り手・個人向け】事業譲渡でかかる税金と所得区分
個人事業主が事業譲渡を行う場合、法人とは異なり、譲渡対価を一括で課税するのではなく、資産ごとに所得区分を分けて課税される点が特徴です。
そのため、どの資産がどの所得に該当するかを整理することが、税額を把握するうえで重要となります。
| 税金の種類 | 発生する主な場面 | 概要 | 計算の考え方(税率) |
|---|---|---|---|
| 所得税・住民税(事業所得) | 在庫などの譲渡 | 事業活動に関連する所得として課税 | 他の事業所得と合算し累進課税 |
| 所得税・住民税(譲渡所得・分離課税) | 土地・建物の譲渡 | 不動産の譲渡として分離課税 | 長期:20.315%、短期:39.63%(目安) |
| 所得税・住民税(譲渡所得・総合課税) | 営業権(のれん)等 | その他資産の譲渡として課税 | 他の所得と合算し累進課税 |
| 消費税 | 課税資産が含まれる場合 | 課税資産部分に対して課税 | 課税資産の税抜譲渡対価の額 × 原則10%(軽減税率対象資産は8%) |
※同じ事業譲渡でも、在庫・土地建物・営業権(のれん)などで課税区分が異なる点に注意が必要です。
※税理士事務所における顧客引継ぎの対価など、事実関係によっては雑所得となる場合があります。
また、これらの税金は、すべてが必ず発生するわけではなく、譲渡資産の内容や所得の発生状況によって変わるため、資産内訳ごとに整理して確認する必要があります。
以下では、各所得区分ごとの考え方を具体的に解説します。
事業所得(総合課税)となるもの
棚卸資産の譲渡による所得は、事業所得として総合課税の対象となります。
商品や製品、仕掛品、原材料などは事業活動の一環として発生する収益と位置づけられるため、事業譲渡であっても通常の売上と同様に扱われます。
この所得は他の事業所得や給与所得などの所得と合算して計算され、所得が増えるほど税率が上昇する累進課税が適用されます。
そのため、在庫が多く、処分した際に利益が大きく出る場合、税負担が急増する可能性がある点に注意が必要です。
国税庁の取り扱いでも、棚卸資産の譲渡による所得は譲渡所得ではなく事業所得に該当する(※)とされており、在庫の譲渡は「資産売却」ではなく「事業収入の一部」として扱う点が重要です。
(※)出典:国税庁タックスアンサー No.3105「譲渡所得の対象となる資産と課税方法」
譲渡所得(分離課税)となるもの
土地や建物の譲渡による所得は、譲渡所得(分離課税)として取り扱われるのが原則です。
事業譲渡の一環であっても、不動産については他の所得とは切り分けて課税されるため、計算方法が異なります。
不動産の譲渡所得は、譲渡した年の1月1日時点の所有期間に応じて税率が変わる点が特徴であり、長期譲渡か短期譲渡かによって税負担に大きな差が生じます。
所有期間が5年を超える場合は20.315%、5年以下の場合は39.63%が基本です。
したがって、取得時期の違いがそのまま税率の差につながるため、譲渡前に保有期間を確認することが税額試算において不可欠です。
譲渡所得(総合課税)となるもの
営業権(のれん)やその他の資産については、譲渡所得のうち総合課税として扱われるケースが一般的です。
事業譲渡において、譲渡対価が承継資産・負債の差額を上回る場合、その超過部分は営業権として整理されることがあります。
この営業権に係る所得は、不動産のような分離課税ではなく、給与所得や事業所得など他の所得と合算して課税されます。
そのため、他の所得状況によって税率が変動し、結果として想定以上の税負担となる可能性があります。
また、営業権の金額は契約上の資産配分によって決まるため、どの資産にどれだけの価格を割り当てるかが税額に影響する点にも注意が必要です。
税理士事務所の事業譲渡では雑所得となる場合がある
税理士事務所の承継では、一般的な営業権(のれん)の譲渡と同じ扱いにならない場合があります。国税庁は、税理士が業務を廃止し、従来の関与先を他の税理士等に引き継いで受け取る金銭等について、得意先のあっせんの対価と認められる場合には雑所得として取り扱うとの見解を示しています。
また、国税不服審判所の平成22年6月30日裁決では、税理士のノウハウや顧問先との信頼関係は一身専属性が高く、当該事案では超過収益を生む無形の財産的価値も客観的に認められなかったため、営業権等の譲渡とは認めず、受領対価に譲渡所得に該当する部分はないと判断しました。
ただし、この裁決は個別の事実関係に基づくものです。従業員・組織・独自ノウハウ・契約関係などが一体として承継され、営業権としての財産的価値が認められるかどうかにより、所得区分が異なる可能性があります。税理士事務所の承継では、契約内容と対価の内訳をもとに個別に確認する必要があります。
出典:国税庁「『税務および経理に関する業務』の譲渡に伴う所得の種類の判定について」国税不服審判所「平成22年6月30日裁決(裁決事例集No.79)」
個人の事業譲渡で税額試算する際の注意点
個人の事業譲渡では、税額は単純な売却金額ではなく、資産や対価の性質ごとの区分によって決まります。
同じ事業譲渡でも、在庫は事業所得、不動産は分離課税の譲渡所得、営業権は原則として総合課税の譲渡所得となります。一方、税理士事務所の顧客引継ぎの対価など、個別事情により雑所得となる場合があります。
この区分を正しく整理できていない場合、税額試算が大きくずれ、実際の手取りとの乖離が生じる可能性があります。
特に、契約書における資産配分が曖昧な場合には、後から税務上の説明が求められる場面も想定されます。
そのため、事業譲渡を進める際は、契約締結前の段階で資産ごとの内訳を明確にし、税理士と連携して試算を行うことが求められます。
【買い手向け】事業譲渡で発生する税金と取得コスト
買い手は、事業そのものではなく、構成する資産や権利を個別に取得する立場となるため、取得する資産の内容に応じて課税関係が決まる点が特徴です。
そのため、法人か個人かよりも、不動産の有無や登記の必要性といった資産の種類が税負担に影響します。
まず、事業譲渡で買い手に発生し得る主な税金について、発生場面・概要・計算の考え方を整理します。
| 税金の種類 | 発生する主な場面 | 概要 | 計算の考え方(税率) |
|---|---|---|---|
| 消費税 | 課税資産を取得する場合 | 課税資産に対する消費税相当額が取引に含まれる | 課税資産の税抜譲渡対価の額 × 原則10%(軽減税率対象資産は8%) |
| 不動産取得税 | 不動産(土地・建物)を取得する場合 | 不動産取得時に課税される地方税 | 固定資産税評価額 × 3%(土地・住宅)または4%(非住宅の家屋) |
| 登録免許税 | 登記手続が必要な場合 | 所有権移転登記などに課税 | 固定資産税評価額 × 税率(売買による土地の所有権移転登記は2029年3月31日まで1.5%、本則2%) |
| 印紙税 | 契約書を作成する場合 | 課税文書に該当する契約書に課税 | 契約金額に応じた定額税 |
これらの税金は、取得する資産の内容や契約形態によって発生有無や金額が変わります。
したがって、取得資産の内訳と契約条件を整理したうえで、事前にコスト全体を把握することが求められます。
消費税(課税資産が含まれる場合)
事業譲渡では、譲渡資産のうち課税資産に該当する部分について消費税が問題となります。
消費税の納付義務は原則として売り手にありますが、買い手は譲渡対価とあわせて消費税相当額を支払います。買い手が課税事業者で、インボイスの保存など所定の要件を満たす場合には、支払った消費税の全部または一部を仕入税額控除の対象とし、自社の消費税納付額から差し引く、または還付を受けることが可能です。そのため、一時的な資金負担としては考慮する必要がありますが、最終的なコストになるかどうかは買い手側の状況によって異なります。
実務上は、契約書において課税資産と非課税資産の区分を明確にしておくことが重要です。
資産内訳が曖昧な場合、税務処理や価格交渉に影響が出る可能性があります。
- <課税区分の代表例>
課税資産の例:建物、機械設備、備品、棚卸資産、営業権等(一般に課税対象となる資産) - 非課税資産の例:土地 など(非課税取引)
このように、同じ事業譲渡でも資産の種類によって消費税の有無が変わります。
そのため、資産内訳の整理が消費税額や交渉条件に直接影響する要素となります。
不動産取得税(不動産を取得する場合)
事業譲渡に不動産が含まれる場合、買い手には不動産取得税が課されます。
不動産の取得時に都道府県から課税される地方税で、標準税率は4%です。ただし、2027年3月31日までに取得した土地と住宅は3%、住宅以外の家屋は4%となります。また、同日までに取得した宅地評価土地は、原則として土地の価格の2分の1に相当する額が課税標準となります。このほか、用途や要件に応じた軽減措置が適用される場合があります。
出典:神奈川県「不動産取得税」
この税金は取得後に発生するため、取得価格とは別に資金計画へ織り込む必要があるコストとして把握しておく必要があります。
登録免許税(登記が必要な場合)
不動産の所有権移転登記などを行う場合、登録免許税が発生します。
税額は登記の種類や不動産の評価額によって決まり、事業譲渡に不動産が含まれる場合は必ず検討が必要です。
そのため、取得価格に加えて登記費用も含めた総額で試算することが重要です。
印紙税(契約書を作成する場合)
事業譲渡契約書は、内容によって印紙税の課税対象となる場合があります。
契約金額に応じて定額で課税され、収入印紙を貼付して納付します。
また、負担者は契約条件によって決まるため、事前にどちらが負担するか整理しておくことが必要です。
買い手が見落としやすい税務上の注意点
買い手は取得時の税金だけでなく、取得価額の配分がその後の税務処理に影響する点に注意が必要です。
特に営業権(のれん)が発生する場合は、処理方法によって費用計上の扱いが変わります。
そのため、契約前に資産内訳と価格配分を整理し、税務上の影響を確認しておくことが求められます。
事業譲渡で「手残り」を最大化するためのポイント
事業譲渡では、最終的に手元に残る金額は譲渡価格だけで決まるものではありません。
税金や費用、スキームの設計によって結果が大きく変わるため、事前に税務面を踏まえた設計を行うことが手残りを左右する要素となります。
ここでは、事業譲渡を進める前に検討しておきたい主なポイントを解説します。
事業譲渡と株式譲渡はどちらが得か(手残り比較)
事業譲渡と株式譲渡では、課税の仕組みが異なります。
事業譲渡は資産ごとに課税されるのに対し、株式譲渡は株式の譲渡益に対して課税される構造です。
この違いにより、同じ譲渡価格であっても、税負担や最終的な手残りに差が生じます。
たとえば、事業譲渡では法人税と消費税の影響を受ける一方、株式譲渡では原則として消費税は発生しません。
そのため、どのスキームが自社の状況に適しているかを比較したうえで選定することが重要です。
譲渡対象や引き継ぐ範囲、税負担の違いを踏まえて検討する必要があります。
より詳しい株式譲渡側の課税関係は株式譲渡にかかる税金で解説しています。
事業譲渡 vs 株式譲渡 手残り比較(概算)
同じ譲渡対価を仮定し、今回の取引による会社と個人の税引後受取額を比較
事業譲渡では会社に、株式譲渡ではオーナー個人に資金が入ります。本ツールは同額の譲渡対価・費用を仮定した概算で、実際の両スキームの価格が同じになるとは限りません。
負債の引受け・借入金返済、会社から個人への資金移転、消費税の収支は計算対象外です。株式譲渡は通常税率20.315%で計算し、ミニマムタックス等の追加負担は含めていません。
金額の入力単位は万円です。小数点以下4桁(1円)まで入力できます。
表示は今回の取引による概算額です。会社全体の預金残高や、オーナーの最終的な手取り額を示すものではありません。
| 譲渡収入 | — |
| 譲渡費用 | — |
| 譲渡益に対する法人税等(概算) | — |
| 譲渡収入 | — |
| 譲渡費用 | — |
| 所得税・住民税等(概算) | — |
株式譲渡側の税額・受取額には、ミニマムタックスによる追加負担を含めていません。注意表示が出ない場合も、適用対象外と判定したものではありません。
税率・帳簿価額・取得費の違いに加え、資金を受け取る主体も異なります。実際の税負担や資金移転まで含めた比較は、税理士等にご確認ください。自社のM&Aの進め方は、無料相談をご利用ください。
- 通常の有償取引を前提とします。無償・低額譲渡、自己株式の取得(発行会社への売却)、非居住者、法人株主の株式譲渡、組織再編等の特例を使う取引は対象外です。入力上の0円は計算上の仮定であり、無償譲渡が非課税になることを意味しません。
- 事業譲渡の税額は、譲渡対価から譲渡資産の税務上の帳簿価額と譲渡費用を差し引いた金額に、入力した実効税率を乗じた概算です。会計上の簿価と税務上の帳簿価額が異なる場合は、税務上の額をご確認ください。実効税率の初期値30%は仮定であり、適用税率を自動判定する機能はありません。
- 法人の他の事業損益、繰越欠損金、税額控除、法人住民税の均等割・外形標準課税、事業税の損金算入時期等を個別に計算しません。防衛特別法人税も適用・税額を個別判定しないため、必要に応じてその負担を織り込んだ実効税率を入力してください。試算上の譲渡益が0以下の場合はこの取引の概算税額を0とし、損失による節税・還付効果は計算しません。会社全体の納税額が0という意味ではありません。
- 負債の引受けを伴わず、対価を金銭で受け取る取引を前提とします。譲渡後の借入金返済、既存の現預金・他の資産、追加出資・退職金・清算費用等は計算しません。会社からオーナー個人へ資金を移す場合は、配当・退職金・清算等の方法に応じた別途の検討が必要です。
- 株式の取得費は売却する株式に対応する額を入力してください。不明な場合は0を入力すると、譲渡対価の5%を取得費として計算します。実際の取得費が5%相当額を下回る場合も、認められている概算取得費の選択を仮定して5%を使用します。取得費は譲渡益の計算で控除しますが、今回の入金から再び支払う費用ではないため、受取額からは直接差し引きません。
- 譲渡費用は、各売り手が負担し、各側の所得計算上も全額控除できる費用を同額と仮定します。費用の性質・負担者・消費税の取扱いによって控除額が異なる場合、この共通費用入力では正確に比較できません。控除できない費用や他者負担の費用を含めないでください。
- 消費税相当額の受領・納付・仕入税額控除は計算しません。譲渡対価は消費税を除いた額、法人側の帳簿価額・費用は税抜経理を前提とした額で比較します。消費税等の実際の資金収支まで含めた最終残高とは異なります。買い手側の税金・費用も対象外です。
- 株式譲渡側は譲渡益に通常税率20.315%を乗じる概算です。2025・2026年分は所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%、2027年分は所得税15%・復興特別所得税0.165%・防衛特別所得税0.15%・住民税5%を前提とします。将来の税制変更時には再確認が必要です。所得控除の未使用額、他の株式取引との損益通算、相続税の取得費加算等の特例・税額控除は反映しません。
- 株式譲渡益が0以下の場合、この取引の概算税額は0とします。一般株式等の譲渡損失は原則として給与所得等との損益通算や翌年以降の繰越控除ができません。本ツールは損失を利用した税額軽減も計算しません。費用が譲渡対価を上回ると受取額はマイナス(持ち出し)になります。
- ミニマムタックス(極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置)の追加負担は、税額・受取額・差額のいずれにも含めていません。株式譲渡所得のみで所得控除・税額控除等がない単純化した条件では、追加負担が生じ始める譲渡益の計算上の目安は、2025・2026年分で約10.33億円、2027年分で約3.37億円です。他の所得等により適用関係は変わります。本ツールの注意表示は譲渡益3.3億円からの事前案内であり、適用判定ではありません。詳しくは株式譲渡にかかる税金もご参照ください。
最終的な税額は個別の前提により変わります。税理士にご確認ください。
確認日:2026年9月14日
根拠資料:国税庁:株式等の譲渡課税/国税庁:概算取得費の取扱い(共-13)/国税庁:高額所得の課税特例/財務省:ミニマムタックスの改正(422~425頁)/財務省:防衛特別所得税の創設等
事業譲渡はM&Aの一手法です。M&A全体の手法や流れはM&Aとはで解説しています。
役員退職金の活用
事業譲渡にあわせて役員退職金を支給することで、税負担を調整できる場合があります。
適正な役員退職金は法人の損金に算入できますが、不相当に高額な部分は損金算入が認められません。そのため、金額や支給手続きを適切に設計することが前提です。
また、受け取る側においても退職所得として扱われるため、一般的な給与所得よりも税負担が軽減されるケースがあります。
ただし、金額の妥当性や支給要件が問われるため、形式的な支給ではなく合理的な範囲で設計することが前提となります。
事前に税理士と確認しながら進めることが必要です。
契約前の税額試算と専門家連携
事業譲渡では、契約締結後に税務の前提を変更することが難しいため、事前の試算が重要です。
譲渡価格だけでなく、資産ごとの内訳や費用を踏まえて税額を把握しておく必要があります。
特に、消費税の対象範囲や譲渡益の計算方法によって、最終的な手残りは大きく変わります。
そのため、契約前の段階で税理士や専門家と連携し、手残りベースで試算を行うことが実務上のポイントです。
このように、事業譲渡にあたっての課税関係は、早期に整理することでスムーズな意思決定につなげることができます。
より詳細な会社売却の進め方については、以下も参照してください。
事業譲渡ではM&A仲介会社の選定が重要
事業譲渡の税金は、売り手・買い手や法人・個人の違いに加え、資産内訳や価格配分によって大きく変わります。
そのため、スキーム設計や事前試算を含めて全体を設計できるパートナーの選定が重要です。
より詳細な会社売却(譲渡)の相談先については、以下も参照してください。
業界知見と実績があるか
事業内容によって税務上の論点は異なります。
設備中心の事業と不動産を含む事業では、価格配分や課税関係の整理方法が変わるため、自社に近い案件の実績があるかを確認する必要があります。
手数料体系の透明性
手数料は成功報酬型が一般的ですが、計算方法や最低報酬の有無によって総コストは変動します。
税金や諸費用とあわせて検討するためにも、手数料の算定方法と発生タイミングを事前に把握することが必要です。
専門家が在籍しているか
事業譲渡では税務・会計・法務の整理が不可欠です。
そのため、税理士や会計士と連携し、資産内訳や税額を踏まえた提案ができる体制かどうかを確認する必要があります。
このように、仲介会社の選定は条件交渉だけでなく、税務を含めた全体設計の精度に影響します。
早期に専門家と連携し、具体的な数値をもとに検討を進めることが重要です。
ストライクのM&A仲介・アドバイザリーサービス
ストライクは、事業承継や成長戦略など幅広いM&Aニーズを支援するM&A仲介・アドバイザリー企業です。
M&Aに精通した専門アドバイザーが、財務・法務・税務など多面的な観点から、企業ごとの状況に応じた支援を行っています。また、ストライクでは営業部門とは独立した審査体制を設け、案件進行や情報管理の品質向上にも取り組んでいます。
ストライクの具体的な支援体制や品質管理の仕組みについては、ストライクのM&A仲介・アドバイザリーサービスで詳しく解説しています。
よくある質問
ここでは、事業譲渡の税金に関してよくある疑問を紹介します。
各項目を確認することで、全体像と実務上のポイントを把握できます。
Q. 事業譲渡には税金がかかりますか?
事業譲渡では、譲渡する資産の内容や当事者の属性に応じて税金が発生します。
法人であれば法人税や消費税、個人であれば所得税などが対象となり、資産ごとに課税関係が異なります。
Q. 法人が事業を譲渡する際に発生する税金は何ですか?
法人の場合、譲渡益が出た場合には法人税等が課されます。
また、建物や設備などの課税資産を譲渡する場合には消費税も発生します。
Q. 個人が事業を譲渡する際に発生する税金は何ですか?
個人の場合は、資産や対価の性質ごとに所得区分が分かれます。
在庫は事業所得、不動産は分離課税の譲渡所得、営業権は原則として総合課税の譲渡所得として扱われます。ただし、税理士事務所の顧客引継ぎの対価など、個別事情により雑所得となる場合があります。
このように、一括ではなく資産や対価の性質ごとに税額を計算する点が特徴です。
Q. 消費税は誰が負担するのですか?
消費税の納付義務は原則として売り手にあり、買い手は譲渡対価とあわせて消費税相当額を支払います。ただし、買い手が課税事業者で所定の要件を満たす場合は仕入税額控除の対象となるため、最終的な負担は買い手側の状況によって異なります。
そのため、契約時に課税資産と非課税資産の区分を明確にすることが重要です。
Q. 事業譲渡後、会社を廃業する場合の税金はどうなりますか?
事業譲渡後に会社を清算する場合、事業譲渡益や清算手続中に生じた所得(資産売却益など)に対して法人税等が課税されます。
また、残余財産を株主に分配する際には、株主側でみなし配当や株式の譲渡所得等として課税される場合があるため、譲渡後の手続きまで含めて課税関係を検討する必要があります。
Q. 事業譲渡と株式譲渡、どちらが税金面で有利ですか?
一概にどちらが有利とはいえず、譲渡対象や状況によって異なります。
一般的には、株式譲渡は課税がシンプルである一方、事業譲渡は資産ごとに課税されるため複雑です。
そのため、税負担だけでなく目的や条件を踏まえてスキームを選定する必要があります。
Q. 売り手が事業譲渡の価格を安く設定すると節税になりますか?
単純に価格を下げても、必ずしも税負担が軽くなるとは限りません。相手方との関係や資産の種類によっては、適正な時価より著しく低い価格で譲渡した場合、時価を基準に課税関係が判断されることがあります。
また、譲渡価格を下げれば手残り資金も減少します。
そのため、適正な価格設定と合理的な資産配分を行うことが重要です。










