ご成約インタビュー No.145
INTERVIEW
「関わる人すべてを幸せに」地域に根ざした工務店が描く、
M&Aによる未来への継承
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明光建設株式会社 相談役 有田 明光氏
明光建設株式会社 代表取締役 有田 俊輔氏
島根県浜田市を拠点に、2000年の設立以来「地元に根ざした工務店」として、地域住民の住まいづくりを支えてきた明光建設株式会社。顧客一人ひとりに寄り添い、根拠のある丁寧な見積もりと、地元の木材を活かした家づくりで信頼を築いてきた。この度、同社は事業承継という大きな課題に対し、M&Aという選択を決断。顧客、長年会社を支えてくれた株主、従業員、協力会社という、関わるすべての人々への想いを胸に、新たな一歩を踏み出した。創業者である有田明光相談役と、その志を受け継ぐ有田俊輔代表取締役に、M&A決断の背景と今後の展望について詳しく伺った。
すべての関係者を守るための決断
貴社の事業内容、特徴や強みを教えてください。
明光氏:当社は2000年11月に、私を含め4名でスタートした会社です。設立当初から「地元に根付いて、皆さんに頼られる工務店でありたい」という想いを持ち、網戸一枚の張り替えといった小さなご依頼から、新築住宅の建設まで、幅広く手がけてきました。
特に大切にしているのは、お客様に対して丁寧な説明を尽くすことです。ホームページにも記載していますが、「根拠のないお見積もりはいたしません」。なぜこの金額になるのか、一つひとつ根拠を明確に示し、ご納得いただいた上で仕事を進める。この姿勢は創業以来、ずっと変わらない私たちの信条です。
また、木材にもこだわりがあります。この地域で生産される木材を使い、伝統的な在来工法で家を建てる。地域の木材会社も後継者不足などで数が減ってきていますが、そうした地元の企業を大切にしたいという想いも強く、協力しながら事業を続けています。
今回のM&A案件はいつ頃からお考えになられたのでしょうか。
明光氏:M&Aという手法自体は、5、6年前からダイレクトメールやお電話などで情報を得る機会があり、知ってはいました。しかし、当時は自分が経営の最前線に立ち、営業から設計、見積もりまで全てを行っていたので、「自分が頑張ればなんとかなる」と考えており、現実的な選択肢としては捉えていませんでした。
転機が訪れたのは、65歳を過ぎた頃でした。年齢とともに体力的な不安を感じるようになり、会社の将来を真剣に考えるようになったのです。設立当初、私を信じて出資してくださった株主の方々への感謝の気持ちは、常に心の中にありました。だからこそ、何らかの形でそのご恩に報いたいという思いが、次第に強くなっていきました。そうした悩みを抱えていた2年ほど前、ストライクの担当者さんからお電話をいただき、お会いすることになりました。
未来への希望を灯したMBOという選択肢
M&Aをご決断されるまでには、どのような葛藤がありましたか。
明光氏:ストライクの田中さんと話す中で、M&Aという手法が、株主への恩返し、従業員の雇用維持、協力会社との取引継続、そして顧客への責任という、私が抱えていたすべての課題を解決できる最善の方法だと気づきました。
とはいえ、もちろん初めての経験ですから、何から手をつけていいのか、どのタイミングで進めるべきか、わからないことだらけでした。経営者というのは孤独なもので、会社の現状や問題点を誰にでも相談できるわけではありません。そんな中、田中さんは何度も遠方から足を運んでくれ、時には1時間半も電話で話を聞いてくれました。仕事の話だけでなく、プライベートな話にも親身に耳を傾けてくれる、信頼できる相談相手がいるということが、本当に心強く、ありがたかったです。
ファミリア・キャピタル株式会社様を選ばれた決め手についてお聞かせください。
明光氏:ストライクからは数社をご紹介いただきましたが、どの会社も魅力的で、選択には正直悩みました。その中でファミリア・キャピタル様を選んだ決め手は、大きく二つあります。
一つは、将来的に株式を買い戻し、再び独立した会社として経営できる「MBO(マネジメント・バイアウト)」という道筋を示してくださったことです。これは、事業を継承する息子にとっても、大きな目標になると感じました。
もう一つは、当社の価値を高く評価してくださった点です。私たちが希望していた譲渡価額を上回る評価を提示していただき、私たちのこれまでの歩みを認めていただけたと感じ、大変ありがたかったです。
「これ以上ないメリット」と、次世代へ託す未来
M&Aによって、どのようなメリットがありましたか。
明光氏:「これ以上ないメリットがあった」と断言できます。長年の願いだった株主への恩返しが実現でき、会社も存続できる。従業員の雇用は守られ、協力会社との取引も継続できる。そして、大切なお客様へのアフターサービスも続けられる。私が抱えていた課題のすべてを、完璧にクリアすることができました。本当に最善の選択だったと感じています。
今後の事業展開についてお聞かせください。
明光氏:今後は、長男である俊輔に経営のバトンをタッチします。私は相談役として、当面は引き継ぎなどをアシストしていくつもりです。創業時からの「地元に頼られる工務店でありたい」という想いは、これからも変わりません。人口減少が進む地方で事業を継続していくためには、民間のお客様だけでなく、公共工事にも積極的に着手していく必要があると考えています。また、営業スタイルも時代に合わせて変化させていかなければなりません。インターネットを通じた広報活動など、新しい手法にも力を入れ、次の時代を生き抜くための基盤を築いていきたいです。
俊輔氏:今回のM&Aは、創業者である父が最も大切にしていた「株主への恩返し」と「会社の存続」を両立させるための最良の選択だったと理解しています。この決断を受け止め、これからは私が経営を担っていきます。創業以来培ってきた会社の基盤を大切にしながら、時代の変化に対応できる柔軟な組織づくりを目指します。ファミリア・キャピタル様のお力も借りながら、従業員一丸となって同じ方向に進める会社へと成長させ、さらなる飛躍を目指したいです。そして、いつか株式を買い戻し、再び独立した会社として歩んでいくことを目標に、邁進していく所存です。
一歩踏み出す勇気が、未来を拓く
今後、M&Aを検討される経営者の方にメッセージをお願いします。
明光氏:事業承継や会社の将来について悩みを抱えている経営者の方は、たくさんいらっしゃるでしょう。大切なのは、まず一歩を踏み出して専門家に「相談してみる」ことだと思います。
M&Aの仲介会社は、法務や税務に関する豊富な知識と経験をお持ちです。私たちだけでは思いもよらなかったような、様々な道筋を示してくれます。一人で抱え込まず、信頼できるパートナーにアドバイスを求めながら進むことが、きっとより良い未来を拓くきっかけになるはずです。ぜひ、その一歩を踏み出していただきたいと願っています。
本日はありがとうございました。
M&Aアドバイザーより一言(田中 佑樹・事業法人部 アドバイザー談)

明光建設様は島根県内(特に浜田市・益田市)で高い知名度を有する注文住宅を手掛けるハウスメーカーです。明光様に初めてお会いしたのは株式譲渡が実行される約1年前で、当時人手不足、株式の承継に悩まれてらっしゃり、何かしらストライクとしてご支援ができる形がないか、帰りの空港であれこれ考えていたら飛行機に乗り遅れそうになったことを昨日のことのように覚えています。そこから数ヶ月して候補先への提案をご了承いただき、最終的には明光様のご子息である俊輔様が社長を継がれる形で、ファミリア・キャピタルとの資本提携が実現しました。双方のノウハウを活用し、更なる成長加速に繋がると確信しております。クロージング後に明光様より「全てを解決する方法がM&Aだった。長い間寄り添っていただき本当に感謝しています。」というお言葉をいただき、私自身も今後のアドバイザー人生の大きな糧となりました。今後の両社の発展を心から願っております。
2025年10月公開
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